
【保護者運営の学童保育が抱える課題とは?】
学童保育(放課後児童クラブ)の運営に悩んでいませんか?保護者の方が1年毎にが役員を交代して運営をしているところは数多くあります。共働き家庭が増えるなか、放課後の子どもの居場所として欠かせない存在となっている「学童保育」。その中でも、保護者自身が主体となって運営する「保護者運営型」の学童は、地域によっては今もなお重要な役割を担っています。
私自身はこれまで自身の子どもを預けながら、保護者役員の立場で学童保育の運営に携わってきました。公立民営の地域運営委員会のひとつである保護者運営委員会という組織はで予算や求人、雇用、企画や外部交渉、トラブル対応まで役員として幅広く行う業務があります。経験上、実際に仕事をしながら学童保育の役員として運営をしていくのは負担が大きいと考えています。
運営に携わってみると、想像以上の課題に直面することも少なくありません。この記事では、保護者運営の学童保育が抱える主な課題と、持続可能な仕組みを考えるうえでのヒントをまとめました。
◆ 保護者運営の学童保育とは?
保護者運営型学童とは、保護者会など児童の保護者たちが運営主体となって学童を管理・運営する形態です。NPO法人や任意団体、保護者会が設立母体となることが多く、役員は年度ごとに選出されます。行政からの補助金を受けながら、保育業務を行う指導員(支援員)の雇用や施設の管理、会計処理、行事の運営など、ほぼすべての業務を保護者が担う仕組みです。
学童保育(放課後児童クラブ)は小学生が利用する施設ですが、1年生から利用できます。1年間在籍することで運営の流れや組織のことを知り、2年目以降には役員として会長や副会長、会計などを保護者から選出して交代で運営をしていくものになります。
学童保育(放課後児童クラブ)の設置運営主体は公立公営・公立民営・民立民営という3つに分類されます。その中でも今回取り上げている保護者運営の学童保育の多くは、【公立民営】というものに該当します。保護者の方が自身の子どもを預けながら運営全般に携わります。
※公立民営
(公立)市町村等の施設を利用して(民営)民間である保護者や地域で運営をすること。学童保育は市町村が運営しているところもありますが、公設民営も多いです。ただ公立民営は保護者や地域の負担も多いため、外部委託も含めて減少している傾向にあります。
以下のグラフはこども家庭庁が毎年公表している「放課後児童健全育成事業(放課後児童クラブ)の実施状況(令和6年5月1日現在)から【設置・運営主体別実施状況】についての調査を一部抜粋したものです。赤枠で示していますが、公立民営の「運営委員会・保護者会」は10.0%となっており、割合は毎年減少傾向にあります。


こども家庭庁の【放課後児童健全育成事業(放課後児童クラブ)の実施状況等はこちらからご確認ください。
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調査結果をグラフ化してまとめています!学童保育を運営する上で概要や他の施設の状況が分かるので参考になると思います。
◆ 保護者運営だからこそ直面する7つの課題
1. 運営の負担が一部に集中する
「忙しくて関われない」という保護者も多く、限られた役員が多くの業務を背負う状況に。公平な分担が難しく、役員の負担感は年々高まる傾向にあります。また会合などで役員の方が集まるのは平日夜など、小さな子どもがいる家庭では忙しい時間帯となります。
2. 専門知識が求められる場面が多い
契約書の作成、会計処理、労務管理など、法律や制度に関わる実務が意外と多く、知識や経験のない保護者には大きな負担です。経営者目線で判断をしなければならないことも多く、個人の感情や感覚を極力入れないようにすることも大切です。
3. 保護者間の意見の違い
「学習支援を強化したい」「のびのび遊ばせたい」など、学童に求めるものは家庭によって異なります。合意形成には時間と労力がかかります。運営方針や予算の使い方などは様々な考えがあります。理解を得ることが難しいと新しい取り組みなども進みにくいです。
4. 職員の確保と定着
待遇や職場環境に不安を抱える指導員(支援員)も多く、せっかく採用しても長続きしないことが課題です。採用・教育・フォローアップをすべて保護者が担うのは容易ではありません。日頃から話をしたり相談を聞くことで早急に取組むべき課題が見えてきます。状況によっては求人募集の活動や処遇改善も必要となります。
5. 財政のやりくり
補助金だけでは賄いきれず、保護者会費や寄付に頼らざるを得ない場合も。突発的な支出に備えた予算管理も不可欠です。まずは予算管理が大切です。月額利用料は適正な金額であるかや補助金などの制度のことも理解しておくことが大切です。なんとなく運営をしていると財政難に陥ることもあります。
6. ノウハウの継承が難しい
役員が1〜2年で交代するため、運営のノウハウが引き継がれにくく、毎年「ゼロからのスタート」になることもあります。
7. 保護者の時間的・精神的負担
本業や家事・育児との両立が求められる中での学童運営は、思った以上にハードです。「やりがいはあるけれど、正直しんどい」という声も少なくありません。活動の多くはボランティアまたは一部支給程度となる割に、仕事並みの業務となってきます。
こうした課題を抱える中で、「運営をもっと楽に、効率的にしたい」と感じる保護者の声が増えています。
そこで近年注目されているのが、運営の一部を外部委託したり、学童運営に詳しいコンサルタントに相談するという方法です。すべてを外部に任せるのではなく、必要な部分だけを切り出してプロの手を借りることで、保護者の負担を減らしつつ、安定した運営が可能になります。
私自身も、保護者として運営を経験した中で、現場のリアルな課題と向き合ってきました。だからこそ、学童ごとの事情に寄り添った支援ができると考えています。
◆ 持続可能な学童運営に向けてできること
それでも、地域の子どもたちのためにこの学童を守っていきたい――そんな思いを形にするには、「仕組み化」と「外部との連携」が鍵になります。
◉ 業務のマニュアル化と引き継ぎの工夫
毎年同じ失敗を繰り返さないためにも、業務の手順を見える化し、引き継ぎ資料を丁寧に作ることが大切です。「知らなかった」を減らす仕組みづくりを意識しましょう。
◉ ICTの活用
LINE公式アカウント、Googleドライブなどを活用することで、連絡・文書共有の効率化が図れます。情報の一元管理も負担軽減に有効です。
◉ 外部専門家の活用
会計や労務など、専門性が高い業務は税理士や社労士の協力を仰ぐのも一つの方法です。「お金はかかっても安心できる」ことの価値を再認識する必要があります。
◉ 地域や行政との連携
保護者だけで抱え込まず、地域の人材や行政の支援制度をうまく活用することで、学童の持続可能性を高めることができます。
また保護者役員の負担が増えすぎないよう外部の支援者や専門家に協力を求めることも大きな選択肢です。
運営業務の一部を外注することで、保護者は「判断」や「見守り」の立場に集中でき、業務負担やストレスが大きく軽減されます。
また、学童保育に特化したコンサルティングでは、制度面のアドバイスや職員管理の体制づくり、運営改善のサポートなどを提供しています。
私も現在、こうした支援を提供できる立場として、必要に応じた運営支援やコンサルティングを行っています。物価上昇や少子化問題、職員の確保など様々な問題がありますが、まずは安定した運営をしていくことが大切です。運営上の課題や悩みがありましたらお気軽にご相談ください。
◆ 最後に:続けるために「無理をしない仕組み」を
保護者運営の学童保育には、温かみと柔軟性があります。一方で、「善意」や「責任感」だけでは続かない現実もあります。だからこそ、「関わりやすい仕組み」と「人に頼る仕組み」を同時に育てていくことが、これからの学童保育に求められているのではないでしょうか。

子どもたちの笑顔を守るために、保護者も笑顔でいられる学童運営を、一緒に考えていきましょう。
この記事を読んで、「うちの学童にもサポートが必要かも」と思った方は、お気軽にご相談ください。小さな不安の声からでも、力になります。
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